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皆さんこんにちは。旅する獣医師あにとらです。2020年現在オーストラリアに滞在中。オーストラリアに来た目的のひとつは”アニマルシェルター(動物シェルター・動物保護施設)の見学・ボランティア”です。
では、そもそもアニマルシェルター・動物シェルター・動物保護施設とは一体なんなのでしょうか??今日はその辺りを説明して行きたいと思います。
目次 1.アニマルシェルターとは 2.なんでそんな施設が必要なの? 3.シェルターって動物にとっていい所なの? 4.まとめ
1.アニマルシェルターとは
アニマルシェルターとは”あらゆる事情で飼い主と住めなくなった動物たちを保護する施設”です。ヨーロッパやオーストラリア、北米などの動物福祉先進国と言われる国々には、必ずと言っていいほど大都市の近くにこういった施設が存在しますし、実は日本にもあります。
私も数年前まで東日本大震災の被災動物保護シェルターで診療をしていました。大型災害時には公民問わず、一時的なシェルターが設置されることもありますが、日本にも常設のシェルターというものがあります。そしてそれらはほとんどは、民間団体が寄付によって運営しています。
「寄付だけで運営ってできるの?」という疑問ですが、答えはイエスでもあり、ノーでもあります。
日本では、チャリティー文化というものが欧米諸国に比べ根付いていないと私は感じています。見返りを求めずお金を出したり、無償で労力を使ったり・・・ということに対してのハードルに多少なりとも違いがあるように感じます。
日本で寄付金を集めるというのはとても大変で、小さな団体であれば運営側やボランティアが、かなりの額を自己負担していることもしばしば。
もちろん、海外だからお金が集まる!!という訳ではないですし、実際にイギリスやドイツなどで大中小様々な規模の施設見学をさせてもらった時も、ギリギリの状態で活動をしている団体はありました。ただ、欧米諸国は動物保護団体の歴史が長く、大きな団体では個人、企業、資産家からの寄付で持続的に運営できている、というのは強みかもしれません。
2.なんでそんな施設が必要なの?
現代の野良犬の減った日本で「なぜ動物保護施設が必要なのか?」という疑問を持つ方もいるかもしれません。その理由について説明します。
日本の動物保護施設は、主に犬と猫を保護対象としています。(海外では、ウサギやモルモットなどの各種小型動物、馬、鶏まで保護対象は様々。)
動物保護施設に動物達が入る理由 ・飼い主が手放した ・迷い犬 ・虐待(飼育放棄を含む)からの保護 ・多頭飼育崩壊 ・野犬(地域による)
日本では”ペットの終生飼育”は飼い主の義務とされています。しかし、身勝手な理由でペットを捨てる人は後を絶ちませんし、突然の病気などでどうしても飼えなくなり、ペットを手放す場合もあります。
「小さい時はかわいかったんだけど、思っていたより大きくなっちゃった。」
「ペット不可のところに引っ越すことになった。」
「しつけがうまくできなかった。」
「吠えるから。」
「ペットが病気になったから。」
ペットが捨てられる時、こういった理由が本当に多くあるんです。そして、こういった理由に関しては、欧米の動物福祉先進国でも同じです。
基本的な動物福祉への意識、認知度の違いはあれど、人間のやることは国が違っても共通する部分があります。虐待を周りの人が気づいて通報し、保護されるというケースは多々あります。(日本ではその通報システムすらちゃんと成り立っていないので、虐待が放置されるという怖い現実がありますが・・・)
犬の福祉が充実していることで有名なあのドイツですら、施設見学時に聞いた話によると、飼い主がペットを手放す理由に、「ピットブルなどの危険犬種(ドイツでは犬種指定がある)を飼ってみたかったけど、ちゃんとしつけができなかったから手放した。」といった安易とも取れる話があったりします。
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イギリスでも「飼い主が海外にホリデーに出かけるからって捨てていくこともあったよ。」というショッキングな話を聞いたことがあります。
・犬猫が人間とは違う習性を持つ生き物であること。
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・そもそも生きているので病気もある。
・性格も様々。完全に思い通りになるわけがない。
当然のことを知っていれば起き得ない事情が、現実に起きるのです。自身の病気という理由はどうしようもないことではありますが、せめて自分に何かあった時に、面倒をみてくれる後見人を見つけておくことは、ペットを飼い始めるに当たって必要だと私は考えています。
3.シェルターって動物にとっていい所なの?
私は動物保護施設、アニマルシェルターは現時点ではできるだけ多くの、質のいい場所ができることが必要。ただし、「将来的には保護動物は少なくなっていくべき」と考えています。
というのも、シェルターというのは必ずしも全ての動物たちにとっていい環境ではないからです。虐待などを受けて保護された場合、もちろん虐待を受けていた時よりいい環境でないといけません。でもやっぱり、特に犬にとっては、家庭に入ることが一番なのです。保護するとしてもシェルターでなく、犬猫の飼育に長けたフォスターケア(家庭でお世話をしてくれるボランティアさん)に任せることができれば理想的だと考えています。
シェルター環境ではスタッフやボランティア、周りの犬たちが入れ替わり立ち代わりします。周りから吠える声が聞こるのは日常茶飯事で、遊ぶ時間、散歩の時間も十分とは言えないかもしれません。動物にとってストレスはそれなりに大きいのです。
オーストラリアで出会ったシェルター職員によると、人懐こい性格のわんこが、徐々に人間不信のような態度をとるようになっていくこともあるとのこと。信頼できる安定した家庭で暮らすことが、犬にとっての理想であることは言うまでもありませんし、知らない人が行き交い犬猫の鳴き声に常に晒されるような環境では猫も落ち着いて生活できません。
シェルターメディスンの清書にも書かれていることですが、最大限の努力をしても、シェルターでのそれぞれの環境が動物にとって完璧とは言えないのでしょう。
4.まとめ
根本的なこととして、犬でも猫でもそもそもシェルターに入る理由がないことが一番です。
犬猫が捨てられることがない、虐待されない、野良猫は異常に増えることなく、地域に受け入れられている。そういった環境が理想です。
必要なのは、負の連鎖の蛇口を締めること。
そのためには、国民一人一人の動物福祉への意識レベル、ひいては「命を大切にする」という情操面での充実が必要不可欠だと考えています。
世界中を旅して、それぞれの国々で問題点は様々だと実感しました。たとえ動物福祉先進国でも、問題はあります。でもいい面もたくさんあります。逆に新興国や発展途上国でも、様々な問題はあれど、お互いの存在を尊重し無下にせず、いいバランスで共生できているな、と感じる場所がたくさんありました。
日本は日本なりの、動物たちとのより良い共生の仕方を実現していきたいものです。日本の動物福祉についてのご意見、体験談等あればコメントにいただけると幸いです。
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>正希さん。
そうですね。
実際、クラウドファンディングというものが流行って、誰でも一度は耳にしたことがあるほどになった、というのは私としては大きな一歩だと感じています。
「いいと思ったものにはお金を出す。」
これが日本人の気質なのかもしれませんね。
発信力についても、それを身につけるためにこのブログを立ち上げたり、苦手なSNSに手を出しましたが、自分自身うまく利用できていないのが現実です・・・
まさきさんと話してからちゃんと再開すると心に決めましたが、どうやったら発信力が上がるのか、各方面に積極的なまさきさんから今後もご教示いただけたら幸いです!
考えるべき事が山積みだと改めて感じました。
日本人の気質や「強み」を考え抜いて、日本ならではの動物福祉の形を探したいですね!
なぜ、日本人でもお金を出す方法はあるでしょうし、この時代、情報を「知る」という方法はたくさんあるので、それを「どう利用するか?」をこちら側が考えていかないといけないと思います。どうしても動物保護の情報(例えば「どこどこに〇〇犬がいるよ」というような情報)が業界の人界隈の中でしか回っていない(広がっていない)印象です。
「発信力」は状況を打破する鍵を握ると思ってます。