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犬のしつけは犬を飼い始めたばかりのご家庭だけでなく、長年犬と暮らしてきた方々にとっても、よく頭を悩ませる問題のひとつです。今日は、獣医師である私が”犬のしつけ”についての話をしていきたいと思います。

 

目次

1.犬のしつけって必要なの?
2.獣医師とドッグトレーナーの違い
3.犬のしつけの効果的な方法
4.まとめ
自己紹介”旅する獣医師あにとら”

山口大学農学部獣医学科卒。
獣医師資格取得後、東北にて東日本大震災被災動物シェルターを併設する動物病院にて勤務。
一般外来診療とシェルター診療を兼任。
シェルター閉鎖後はバックパッカーとして世界一周ひとり旅と、ヒッチハイクでの日本縦断を経験。
帰国後は九州最大の夜間救急動物病院にて勤務。
同時期に、仕事と並行して世界の人と動物との共生の様子を伝えるため、全国5都市での世界一周動物写真展を開催。
現在も、執筆活動などを通して動物福祉の向上を目的とした活動を行なっています。


 

 

1.犬のしつけって必要なの?

「そもそも、犬をしつける必要は本当にあるの?」「しつけだなんてかわいそうだ。」と思われる方も少なくないはずです。その疑問について、ちょっと小難しいかもしれませんがしっかりと考えていきましょう。

 

まず、”犬のしつけ”とは何のことでしょうか?

 

犬は社会性と呼ばれる習性を持った生き物(社会性動物・社会的動物)です。それぞれに役割を持って社会を構築することを本能としていて、人間も同じ社会性を持っています。そして、犬は人間の社会に入ることで”犬”として確立した種になりました。

 

”社会”にはルールがあります。人間社会で言うところの法律はもちろん、マナーやモラルなどもこのルールに当てはまると言えます。オオカミや犬も野生では群れをなして行動していて、その中にはある程度のルールがあります。そのルールを守り、お互いに心地よく生きていくための方法が”コミュニケーション”です。

 

*厳密にはオオカミとペットである犬(イエイヌ)は群れの構成の仕方、役割分担などで異なる習性を持っていることが現代の研究では分かっていますので、群れの中でリーダーが絶対!という考え方は現代の犬の行動学では当てはまらないこともあります。

 

人間と犬が社会性を持った生き物である以上、人とペットである犬が共存する場所である”家庭”では、ある程度の”ルール”を決めて、それを”コミュニケーション”の中で教えておく必要があります。人間なら学校や家庭で日頃から教えられるようなものです。それが”犬のしつけ”にあたります。

 

社会性を持った知能のある動物が、その場所でのルールも何もわからない状態でほったらかされると、どうしていいか分からず、精神的に不安定になってしまったり、人間に許容されない問題行動を起こしてしまう可能性があります。こういったことから、犬のしつけは人間社会で生活する上で必要なことと言えるのです。

 

 

2.獣医師とドッグトレーナーの違い

動物病院の診察室では、よくしつけの相談を受けます。私も自分の飼ってきた犬のしつけ経験がありますし、獣医師という仕事柄、行動学セミナーを受講するなど犬の行動や生態を理解するよう努めていますから、できる限りのアドバイスをします。

 

がしかし、そもそも、獣医師とドッグトレーナーは別の職業です。獣医師は動物の病気を予防したり治したりする仕事で、ドッグトレーナーは犬と犬を飼っている人を教育する仕事です。人間の医者と学校の先生が別の仕事であることと同じですね。そもそもの専門分野が医療と教育という面で全く違うのです。

 

*世界的に見ると獣医療の中での「動物行動学」が少しずつ発展してきており、問題行動などを解決するために動物行動学を学んだ(または専門としている)獣医師が治療介入することもありますが、あくまで専門性の高い分野であって、日本にある一般的な病院で受けられる治療ではないです。

 

現在は獣医の学校でも”動物行動学”を受講できることがありますが、以前はそういった講義はありませんでした。私の学生時代は細胞レベルの生体の成り立ちなどの基本から、外科や内科など実践獣医療のこと、公衆衛生などといった人間と人間以外の動物双方の衛生管理のことなどを主に習いましたが、しつけのことを大学で勉強する機会は一切ありませんでした。

 

獣医師は学習の必須項目として”しつけ”がない(現在では大学で行動学として学べる場合もあります。)ですから、獣医師のしつけの知識はあくまで自主的な独学やセミナーへの参加、経験に委ねられることが一般的です。

 

一方、ドッグトレーナーは”犬の教育”と”犬を飼っている人の教育”を本職としていますから、その点について専門的に勉強し経験を積んでいます。同じ”犬”に関わる仕事ですが、獣医師とドッグトレーナーは全く別分野である、ということをお分りいただけたでしょうか?

 

もうひとつの違いとして、獣医師は国家資格ですが、ドッグトレーナーは公的な資格がありません。ですから、その力量について推し量ることは非常に難しいです。近くで良いドッグトレーナーさんが見つからない、通う時間の確保が難しい、と言う方にはオンラインでしつけを学べる教材もありますから参考にしてみてください。

 

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イヌバーシティさんとは世界一周動物写真展などでお仕事を一緒にさせてもらう機会があり、私が信頼しているドッグトレーナーさんが本教材の講師をしておられます。ドッグトレーナーの先生に直接アドバイスをもらえるサービスも提供されています。

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3.犬の効果的なしつけ方法

 

ここまで正直にお話しているので、大体の察しはつくと思いますが、犬の効果的なしつけ方法は”ドッグトレーナーのアドバイスをもらう”ことです。

 

もちろん、生活の中でのちょっとした悩みを獣医師に相談すること自体は問題ではありませんし、ご家庭での問題点がわかることがペットの健康の増進に繋がることもありますから、私自身は、ぜひ気軽に相談してほしいと思っています。問題行動の程度によってはしつけで解決できない、薬が必要な”獣医療分野”となることもありますから、その見極めも大切です。人間でいう精神科と同じ状況ですね。

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また、もしかしたら、獣医師の力量次第ではドッグトレーナーと同じくらいの経験や知識を持っていることもあるかもしれません。しかし、基本は”獣医療は獣医師、教育はドッグトレーナー”と思っていただいた方が、しつけの面では効率が良いでしょう。

 

そして、忘れてはいけないことがあります。犬のしつけにおいて何より大切なことは”飼い主さん自身の教育”です。

 

私たち人間は成長するうちに、いつの間にか社会のルールを身につけていきます。そして、すでに自分が身につけていることを自分の子供にそれとなしに教えています。しかし、相手が犬となればまた話は別。分かりやすい言葉、アイコンタクトや口調など、犬が理解できるものを駆使して教えていかなければなりません。

 

犬と人間とは別の生き物です。しっかりと犬の習性を理解することから始めなければ、そもそも教えることすらできません。ですから、「ドッグトレーナーさんに任せればOK!」というわけではなく、もちろん、自力でしっかり勉強し実践することを忘れてはいけません。

 

犬は人の目線を読むことができたり、人に何かを頼む・頼まれるといった高度なコミュニケーションができる非常に珍しい生き物です。繰り返しになりますが、このコミュニケーション能力を最大限活かすためにも、犬の習性、犬の言語(ボディーランゲージ)を人間側が理解することが必要なのです。

 


 

4.まとめ

・犬のしつけは犬が人間社会で生きていく上で必要なこと。

・しつけはドッグトレーナー、獣医療は獣医師に相談。

・効果的なしつけのためには、飼い主さん自身が犬の習性を理解し、しつけの方法を勉強すること。

 

上記のことをしっかりと理解し、家族である犬が安心して楽しく暮らせるようなしつけを実践していきましょう。

 

相談しやすい良いドッグトレーナーさんを、ご自宅の近くで見つけるのはなかなかに大変なことかもしれませんが、オンラインでのしつけ教材や相談などを活用して、犬も人もお互いに心地良い関係を築いていってくださいね!

 

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