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皆さんこんにちは。旅する獣医師のあにとらです。今回は日本の動物愛護センターについて紹介します。

 

各地方自治体に必ず存在する”動物愛護センター”

どんなところか皆さんはご存知でしょうか?

一般の見学者を受け入れている自治体もありますが、全てではないですし、なかなか内部を見る機会のない施設かと思います。

 

私は獣医師という職業柄、かつ、動物福祉の向上という自身の目標もあるので、日本各地の動物保護センターを数年にわたり見学してきました。今回は内部の撮影と掲載の許可を頂いた、福岡の動物愛護センターの内部を公開します。

 

目次
1.動物愛護センターとは
2.主な業務
3.動物愛護センターの内部を公開
4.処分方法
5.譲渡のための取り組み
6.まとめ
おまけ.犬のしつけでお困りの方に

 

 

自己紹介”旅する獣医師あにとら”
山口大学獣医学科卒。
獣医師資格取得後、東北にて東日本大震災被災動物シェルターを併設する一般動物病院にて勤務。
シェルター閉鎖後はバックパッカーとして世界一周ひとり旅と、ヒッチハイクでの日本縦断を経験。 
帰国後、九州最大の夜間救急動物病院にて勤務。
同時期に「世界の人と動物との共生」をテーマにした世界一周動物写真展を全国5都市で開催。
現在も、診療や執筆活動などを通して、動物福祉の向上を目的とした活動を行なっています。

 


 

1.動物愛護センターとは

動物愛護センター(動物管理センター)とは、

・動物愛護精神の普及・啓発

・狂犬病の予防

・動物による危害の防止

などを主な目的として運営される公的な施設のことです。

 

*保健所は人の生活に関わる、さらに広い範囲の公衆衛生業務を行なっていますが、その業務の一環として犬猫に関する部門もあります。

 

 

2.主な業務

では「具体的にどんな仕事をしているのか?」というところをお話していきます。地方自治体によって細かな業務は異なりますが、主に以下のような業務を行っています。

 

動物愛護(管理)センターの業務例

・犬の登録
・狂犬病予防注射関連
・犬猫の引き取り、捕獲、抑留(保管)、返還、譲渡、処分など
・動物に関する苦情、相談など
・啓蒙活動(しつけ教室や出張授業など)
・その他(動物取扱業の登録業務、地域ネコに関する業務など)

 

昔は、”野良犬猫を捕獲、引き取りをして処分するための場所”というイメージがありましたが、現代ではできる限り処分しないよう、返還や譲渡、啓蒙活動に力を入れています

 

実際に、私の働いていた福岡市の処分頭数は犬猫合わせて平成16年度で3,522頭でしたが、平成29年度で319頭と10分の1以下に減っています。

 

全国的にみても、この10〜20年間の間、順調に処分頭数は減っており、”殺処分ゼロ”も夢ではない状況になってきています。(治療困難な疾病による安楽死は除く。)

 

*ちょっとだけ自分の話。

私の愛犬ジュピちゃんも、動物愛護センターの譲渡会で引き取りました。私が中学校に上がる頃でした。その時に、「ジュピを引き取らなかったら、ジュピがどうなっていたか。」、「里親が見つからなかった犬猫たちがどうなるのか。」を知ってしまい、そこから”動物福祉の向上”に身を投じる決意をしたのです。

 

私は今までに福岡県で3ヶ所、山口県で1ヶ所、熊本県で1ヶ所、鹿児島県で1ヶ所の施設(動物愛護センター)を見学してきて、実際に職員さんともお話させていただく機会がありました。

当然のことですが、誰しも「処分したくはない」のです。そうしないために必死になって頑張ってくださっています。ちなみにですが、施設では獣医師たちが多く働いています。(所長、動物愛護・管理指導員、避妊去勢手術担当医さんなど)

 

 

3.内部を公開

それでは、動物愛護センターの内部を公開していきます。今回、撮影と掲載の許可をいただいた施設は福岡市にある”東部動物愛護管理センター(あにまるぽーと)”さんです。こちらの施設では定期的に一般の方の見学も受け付けています。

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↓福岡市動物愛護管理センター

公式HP「わんにゃんよかネット」

https://www.wannyan.city.fukuoka.lg.jp/

 

*動物愛護センターは、最終的には犬猫の処分をしないといけない施設ではありますから、見るのに心苦しい写真もあります。皆さんに現実をお伝えしたくてこの記事を書いていますし、それが掲載を許可してくださった施設長様のご意向でもありますが、気分が悪くなった方は無理をなさらないようお願いいたします。

 

施設構成

・受付/事務
・セミナールーム
・犬の抑留(保管)エリア
・猫の抑留(保管)エリア
・疾病動物エリア
・手術/処置室
・犬猫の処分施設
・譲渡対象動物の管理エリア
・啓蒙活動エリア
・ドッグラン

建物自体はいかにも官営!といったイメージを持つ、質素な作り。

見学したあにまーるぽーとさんでは、より市民に身近な施設となるために、地域の会社さんと協力して共用エリアの壁などをポップな印象に変えるなどの工夫をされています。

 

犬については昼間は日の当たるところにつないでいるそうです。

といっても、施設の通路にこんな感じで並んでいて、お互いが丸見えですね。犬同士の接触はできない距離ですが、行動できる範囲は非常に狭いです。

1頭ずつ外に繋げるのは、施設スタッフさんの動物福祉への配慮と、保護頭数が減ってきたことによりできることですね。(今まで見学した全ての施設で同じだった訳ではありません。)

 

見学者に興味津々。人馴れしているワンコばかりでした。

この様子からも、もともと人に飼われていたワンコたちが施設に入っているのでしょう。

(犬猫たちが捨てられる理由については前回の記事「動物シェルターとは?」をご覧ください。)

 

屋内犬舎です。ここは日本の動物愛護センター(処分業務を行う施設)なら、ほぼ似たような構造をとっているはずです。

昔は、犬たちはこの数畳ほどの犬舎に何頭もまとめて収容されていました。水とご飯皿は共用。トイレもそのまま。処分日には壁が機械的に動いてガス室に追い込まれるシステムでした。

 

この右下にあるところが水やご飯をまとめて入れるものです。スタッフが檻の外から犬たちに触れることなく入れられるようになっています。攻撃性の高いワンコであれば、現在でも使えそうです。

ちなみに、この写真に写っているわんこは外には出ていませんでしたが、ひとりでこの広めの部屋を使っていました。

 

あにまるぽーとさんでは、この集合犬舎の中に個室を作り、個別で管理できるように改築したそうです。

もちろん水皿もご飯皿も個別なので、ワンコたちのストレスは軽減されますし、感染症のリスクも低くなります。かなり大きな変化だと感じました。

 

個室に入っていたワンコ。この子も人懐こくって「遊んで遊んで〜!!」と寄ってきてくれました。若くて元気そうなワンコですが、どういった事情で施設に来たのでしょうか・・・。処分となる前に里親さんが見つかることを願うばかりです・・・。

 

動物愛護センターに来て愛くるしい動物たちを見るたびに、いつも「みんな助けられたらいいのに」と強く思い、自分の無力さを感じてしまいます。この写真を見るだけで泣きそうになりますが、これから1匹でも多く助けられるよう、こういった事実を伝えるための啓蒙記事や国内外での活動を続けていきたいと思います!!

 

 

大きい扇風機で暑さ対策。ちょっとしたことのように思いますが、動物福祉+働くスタッフさんに視点を置いた対策ですね。

10年ほど前から各所の施設を見学をしてきましたが、こういうところも「変わってきたところなのかな」と思います。

 

エアコンルームも作ったそうです。子犬さんなど体調管理に特に気をつけないといけないワンコたちが収容されています。一昔前だったら考えられなかったことです。

 

猫舎は高さのある個別ケージ。主に譲渡対象となる猫たちが入っているそうです。

ケージの中はシンプルにご飯と水皿とトイレ。窓から自然光が入るのは猫ちゃんにとっては嬉しいでしょうね。

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猫エイズなど感染症を持っている猫ちゃんたちは全く別の部屋に収容されています。持病があるとなかなか一般の里親さんを見つけるのは大変・・・。

地域の保護団体さんが引き取ってくれたりもするそうですが、やはり限界がありますから悩ましいところですね。

 

怪我をした猫たちは別で簡単な手当をしてもらっています。

ただ、すぐに治るような怪我ならともかくですが、後遺症が残るほどの怪我の場合、里親が見つかる確率は極めて低く、処分対象となることが多いのだとか・・・。

 

手術・処置室です。里親にいく子達は基本的に全員、避妊去勢手術をしてからの譲渡となります。

大仰な検査機器があるわけではありませんが、処置・手術担当の獣医師さんが執刀してくださっています。

 

*ここから先は処分機などが出てきます。非常に辛い内容ですから、気分が悪くなった方は無理をなさらないようお願いいたします。

 

犬のガス処分機です。窓の向こうに犬舎があり、壁が自動で動いて窓のすぐ直下にあるガス室に追い込まれる形になります。

もちろん、人間がこの機械を動かす作業をしないといけません。

 

犬用のガス室です。かなり狭いことがわかりますでしょうか?

ここに何頭もの犬が追いやられる形になります。扉が閉まれば、もちろん真っ暗です。

 

*後述しますが、現在ここあにまるぽーとではこの処分機は使っていません。

 

ガス室の下です。トラックが入れるようなスペースがあり、ご遺体はそのまま積荷として運ばれます。

私の見学させてもらった施設の中には、ガス室の下が焼却炉になっていてその場で焼いているところもありました。学生時代に見たのですが、遺灰が麻袋に詰められて倉庫の隅に置いてあった様子はいまだに脳裏に焼きついています。

窒息しきらない場合は生きたまま焼かれてしまうという事態もあると聞きました。

 

子猫のガス室です。犬や成猫の保護率は下がり、譲渡率は上がってきているとはいえ、子猫はまだまだ多いとのこと。この処分機はいまだに稼働しているそうです。

 

 

犬の譲渡エリア。手術やワクチンが済み、一般の見学者さんがすぐに会えるワンコたちが生活しています。私が見学した時には、とてもフレンドリーそうなワンコたちが、匂いもほとんどなく綺麗に保たれている犬舎で暮らしていました。

長年、各施設の見学をして来ましたが、こういった綺麗なイメージが昔は全く持てなかったので、本当に変わって来ているのだなと思います。

 

 

4.処分方法

動物愛護センターでの犬猫の処分にあたって、日本では主に下記の2種類の方法が取られています。

 

・二酸化炭素ガス

・注射薬

 

二酸化炭素ガスについては、本人の意識が先に無くなった上で生体機能が止まるので、一応、日本では安楽死に分類されます。

がしかし、狭く暗いガス室に何匹も追い込まれることによる不安と恐怖は計り知れません。

(動物たちの感じる恐怖という意味では、私は安楽ではないと考えています。)

 

注射薬は麻酔薬の過剰投与によるものです。こちらも眠るように意識が先になくなり、その後、生体機能が止まります。(もしくは、止めるための他の薬を用います。)

ガス室への追い込みがない分、まだマシなのかもしれませんが、人に触られることが苦手な動物にとっては恐怖を感じることですし、当然、やらないに越したことはないです。

 

2019年時点で、福岡市東部動物愛護管理センターでの処分は、成犬と成猫の場合は注射麻酔、子猫だけガスという方法をとっているそうです。

 

子猫以外では6〜7年前がガス使用の最後だったのとのこと。私が学生の頃(10年ほど前)から今まででいくつかの施設を見学しましたが、以前はやはりまだガス処分が多かったですから、少しずつ変わっていっているのだな、と感じました。

 

 

5.譲渡のための取り組み

先にもお話しましたが、処分なんて誰もやりたくないのです。

動物愛護センターで働かれている方々は本当に辛いお仕事を、公衆衛生のため、ひいては私たち市民の生活の安全を守るために行ってくださっています。

そして、犬猫の命を奪うために未だに多額の税金が投入されているのです。では、処分を減らすにはどうしたらいいのでしょうか?

 

当然のことながら、

・動物たちの終生飼育

・不妊去勢手術の奨励

・適切なしつけ

・無責任な餌やりへの注意喚起*

こういったところが重要になってきます。

 

*無責任な餌やりについて

「野良猫に餌をあげないように。」というのは全国の自治体で推奨していることです。

餌をあげることで成猫が栄養十分となれば、繁殖能力も高まり、猫が増える。
→保護頭数が増え処分も増える。
→子猫たちが飢えに苦しんだり、カラスに食べられたり。交通事故で亡くなる件数も増える。地域に住む人にとっては糞尿問題がおこる。

という悪循環を生んでしまうことが問題です。

でも、「お腹を空かせている猫を放っておくなんてできない。」という心優しい方もたくさんいます。その心は十分に理解できることです。

ただ、餌をあげるのであれば、せめてあげている猫ちゃんたちの避妊去勢手術をするべきですし、糞尿の管理もする必要があります。(自宅の敷地や地域猫であれば、自宅の庭や地域で任意の場所にトイレを設置し、毎日片付けるなど。)

「地域猫」という考え方があります。「地域猫」は猫たちが屋外で自由に暮らせるよう、地域住民が協力して避妊去勢手術やワクチン、ご飯とトイレ問題に取り組んでくれています。
こういった活動は自由を好む猫ちゃんたちにとって本当に素晴らしいもので、人と動物の共生にとって非常に前向きで有用なシステムだと思います。

 

福岡市の動物愛護管理センターでも譲渡に向けた取り組みを行なっています。その一部をご紹介します。

 

福岡市動物愛護管理センターの取り組み

・ワクチン、マイクロチップ、避妊去勢手術費用を負担
・ミルクボランティアさんによる幼猫期のお世話

・獣医師会&地域の動物病院と提携し、譲渡先を探す

・保護犬のしつけ(里親が見つかりやすくなる)

・サイト”わんにゃんよかネット”の運営(迷子犬猫を見つけやすくする、里親希望者にとって情報が見やすい、啓蒙活動など)

 

 

6.まとめ

いかがでしたでしょうか。ショッキングな内容も多かったと思います。でもこれが現実です。

 

とはいえ、年々状況は良くなっていっていますから、さらに良くなるよう、より多くの人が「知る」こと、「協力していく」ことが大切です。

 

日本という土地、そもそも地球自体が人間だけのためのものではないですから、命の多様性を尊重しつつ、人も動物も住みよい社会作りができたらいいですね。

 

動物愛護管理センターは昔のような”臭い・汚い・犬猫の健康状態やガラが悪い”といった施設から変わっていっています。

 

犬猫を飼うことを考えていらっしゃる方はぜひ一度、地域の保護施設を訪れてみてはいかがでしょうか?

 


 

 

おまけ.犬のしつけでお困りの方に

私アニマルトラベラーが信頼するドッグトレーナーさんが、オンラインのしつけ教材を提供してくださっています。

世界一周動物写真展の東京開催でセミナーをしてくださった「イヌバーシティ」さんです。

犬たちの命を救うため、お互いの生活の質を上げていくためには「犬の習性」を正しく理解し、幸せに暮らすための「しつけ」がとても重要。

近くで相談できるドッグトレーナーさんが見つからない方は、是非、この教材を試してみてください。

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